日産エルグランドは1997年に高級ミニバンとして誕生しました。
2002年には2代目モデルが登場し、初代モデルから大きく変更された点は両側スライドドアの採用ですが、リア・マルチリンクサスペンションや4輪ディスクブレーキが採用されるなど、走行性能の部分でも大幅な強化が行われています。
しかし、同クラスのライバルとは異なり縦置きエンジンの後輪駆動を採用していたのでフロア高が高い点が弱点とされていました。
現行型となる3代目モデルは2010年に発売を開始しましたが、日産は大型FFミニバンの開発が難航した為に、2代目モデルは8年に渡って販売される長寿モデルとなりました。
3代目エルグランドは北米向けの「クエスト」やステーションワゴン型ミニバンの「プレサージュ」と統合されることになり、駆動方式がFFのプラットフォームを採用し課題だった低床化を実現しました。
また、車両の全長と全幅を拡大させましたが、低床化に成功した事で室内高を向上させつつ全高を下げることに成功しており、「室内空間の拡大」と「クルマの運動性能の向上」という相反する要素を同時に達成しています。
エンジンはCVT車として初の280馬力の大台を達成した3500㏄V型6気筒エンジンと、経済性に優れる2500㏄直列4気筒エンジンが用意されています。
2014年にはマイナーチェンジが実施されフロントグリルが大型化され、グリルの周囲をクロームメッキで纏った姿は高級感を高めています。
3代目エルグランドの弱点とも言われたラゲッジスペースには大幅な改良が加えられており、3列目シートが前方向に240㎜スライドするようになりラゲッジスペースの拡大が可能となり、またラゲッジボードの高さを床面に合わせることで積載性の向上にも成功しています。
エルグランドはアメリカのミニバンを連想させる押出し感あるフロントマスクと、高級感あふれる内装が魅力のクルマとなっています。
更に現行型では低床化によりミニバンとは思えない程の走行性能の手に入れています。
この走行性能の向上というものは箱型の形状で重心が高いミニバンにとってハードルが高い存在なのですが、エルグランドは見事にクリアしていると言えます。
また、大柄のミニバンでは死角が多く周囲の視認性が難しくなりますが、疑似的に自車の直上から見下ろすように周囲が確認できるアラウンドビューモニターに移動物を検知する機能が追加されており安全性を向上させるなど、日常での使い勝手の良さにも配慮されている点に好感が持てて、このようにあらゆる面から乗る人・運転する人を考えて作られたミニバンはエルグランドだけかと思います。