日産セレナは非常に歴史の長いモデルで、そのルーツは1969年に登場したダットサン・サニーキャブまで遡ります。
セレナとしての初代モデルは1991年に登場した「バネットセレナ」になり、スタイルこそは小型のボンネットを有するセミキャブオーバーですが、実際は助手席下にエンジンを搭載したキャブオーバー構造でした。
そして1999年に登場した2代目モデルは人気モデルとなっていたホンダ・ステップワゴンの影響を受け、従来のFRレイアウトから低床化が行えるFFレイアウトへ変更が行われました。
そして乗用タイプのミニバンとして両側スライドドアが初めて採用されるなど、現在まで続くミニバンの基本的な構造が生まれました。
2005年には2度目のフルモデルチェンジが実施され、ミニバンとしての構造に大きな変化はありませんでしたが、フランスの自動車メーカーであるルノーと共通の日産・Cプラットフォームが採用されており、リアブレーキがドラム式からディスクブレーキに変更され、クラス最長のホイールベースを有していました。
そのホイールベースが生み出す室内空間の広さや、多彩なシートアレンジがファミリー層に人気となって、ミニバンの中でも人気のモデルへと成長しました。
2010年に登場した現行の4代目モデルは大ヒットモデルとなった先代のプラットフォームを継承しており、エンジンを新型への刷新やアイドリングストップシステムの搭載によって燃費性能の向上が行われています。
そして2012年には2WD車に新開発のスマートシンプルハイブリッドである「S-HYBRID」が搭載されました。
これは既存のECOモーターのエネルギー回生発電量と出力を高めることで、モーターを補助原動機として使い発進時にエンジンを補助する役割を有しています。
このシステムの利点は構造が非常にシンプルかつコンパクトとなっているのでエンジンルーム内に全てが収まる点です。そのため、セレナの大きなセールスポイントである室内空間や使い勝手の良さをスポイルすることなく燃費の向上を実現しています。
セレナは広大な室内空間を活かして家族全員が楽しめる空間作りを様々なシートアレンジで実現しています。
その上で、走りの良さや燃費性能の高さを追求している姿はミニバンの王道とも言えます。
その為、現行型も大ヒット商品となっており道路で見掛ける回数も多いですが、それだけセレナが支持されるだけの魅力があるということだと思います。