ホンダS660は本田技研研究所設立50周年を記念した新商品企画提案の中で第1位に選ばれたことがキッカケで開発がスタートしました。
生産に関しては軽FF車を生産していたラインを改修して使用することでコストの増大を抑えていますが、人の手と機械を融合させた独自の専用工程を取り入れている為、月当たりの生産台数は少なくなりますが工員のスキルとモチベーションを向上させる工夫がされています。
軽としてはビート以来となるミッドシップレイアウトのシャーシは新設計で高い剛性を確保しつつ、軽量化やコスト削減の為の各部の形状をシンプルに仕立て上げられています。
このシャーシにNシリーズに搭載されているS07A型ターボエンジンをベースにして、ターボチャージャーを新設計したものを横置きに搭載しています。
そしてエンジンパワーを活かすため、MTモデルにはワイドレンジ・クロスレシオに設定された6速MTが軽自動車としては初めて搭載されました。CVTモデルにはスポーツモードが用意された7速のパドルシフト付のCVTが用意されています。
ミッドシップレイアウトということもあり、サスペンションに関しても操縦性を高める目的でビートと同じく4輪ストラットサスが採用されていて、軽快かつ痛快な走りが楽しめるクルマとなっています。
またS660は安全装備に関しても積極的に導入しており、ABSやトラクションコントロール・横滑り防止装置を併せたVSAや両席i-SRSエアバッグとサイドエアバッグを全車に標準装備しています。
他にもメーカーオプションになりますが赤外線センサーによって、30km/hで走行時に必要に応じてブレーキを自動で操作を行う「シティブレーキアクティブシステム」が用意されています。
S660は軽自動車ではありますがミッドシップレイアウトを採用するなど、中身は本格的なスポーツカーとなっています。
その為、通常はトランクルームとなっているリアハッチを開けるとエンジンが鎮座していて、荷物はボンネット下に置くことになります。しかし、その容量はミニマムで買い物袋が入るか心許ない程度なのです。
このようにS660の実用性は皆無とも言えますが、運転席の真後ろにエンジンが位置していることからゴーカートのように鋭い旋回性能と、エンジン音やターボ吸気音などが直に聞こえてきます。
特に運転席真横のピラー位置にエアインテークがある事からアクセルを踏み込むとバックタービン音が聞こえて来てカッコいいと思いました。
家族を持つとこういうS660のような趣味に特化したクルマを所有することは難しくなりますが、許されるなら是非とも欲しいクルマですね。