日本では一般大衆車としてのゆるぎない地位を築いたホンダ・フィットですが、海外でのポジションは異なります。
近年、東南アジアを中心にホンダ・フィットの売り上げが伸びていますが、経済発展途上にある東南アジアではホンダ・フィットは、憧れの車としてのイメージが強いです。
高級車としての憧れではなく、お洒落な車としてのポジションを確立しようとしています。
東南アジアで最大の人口規模と経済発展が目覚ましいインドネシアでは、ホンダ・フィットはJAZZという名前で売られています。これは、ホンダの世界戦略により、フィットは日本から全世界に販売されている上で、名前を変えています。
なお、インドネシアにおいてフィットは同じくホンダのオートバイのブランドとしてフィットが使われています。
フィットという名前は、適合する、マッチするという意味合いですが、まだまだ収入的に裕福ではない東南アジアの人々にとって、車を乗るということが一般的ではなく、車が自分の生活に適合するということは、イメージしにくいからこそ、フィットという名前は生活の足であるオートバイに使ったと言われています。
インドネシアでは、日本では廃車になるような車が、現役で走っていることをしばしば見ます。
30年前のモデルの車を修理して使っていたりすることも、普通です。
一般的にインドネシアでは、4輪駆動車が人気です。道の舗装が悪く、悪路でも頑丈に走る車ということで、ジープのような車、四輪駆動の車などが人気ですが、新車を買う余裕が一般市民にはなく、古い中古車を仕事で使うということが一般的です。
そんな中、ホンダのフィット:現地名JAZZは、コンパクトで綺麗な車として、街中で注目を集めるお洒落な車というポジションを確立しつつあります。
日本では新車で130万円から購入できるフィットですが、インドネシアでは2億2000万ルピアから売られています。
為替レートによって、異なりますが、大体200万円程度が新車の価格になっています。
日本よりも高い値段であることに驚くかもしれませんが、部品の一部を日本からの輸入で作られており、部品の関税に100パーセントの関税がかかっていることから、その分、日本よりも新車価格としては高くなるのです。
また、現地の給与は日本円に換算すると1ヶ月3万円から5万円という給与が一般的な会社員の給与ですから、日本で20万円稼ぐ人で日本でフィットを新車購入する場合には、7ヶ月分くらいと思い買いますが、こちらでは40ヶ月以上の出費と思い購入するものです。
これは、インドネシアでは家一軒を買うのと同じ価格になり、インドネシアでは、大型の四輪駆動車を乗り回すよりも、ホンダのフィットに載っていることの方がステータスであり、豊かさの証明となります。
赤道直下の国でも売り上げを伸ばし、そのブランド力を高めているのは、ホンダのこれまでの実績とテクニカルの部分での優位性があるからです。
日本だけでなく発展途上国の悪路でも活躍するホンダ・フィットの魅力は、全世界の人々に評価されている車です。